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ただ、私がここでいいたいのは、日米における基本給の決定プロセスの違いについてです。
このことは、途中入社の場合を考えればわかりやすいかもしれません。 日本では多くの場合、その人と同年代の社員の給与レンジを参考にして、その中央値あたりで決定するのではないでしょうか。
一方アメリカでは、年齢に関係なく、その人の職務内容(その難易度や必要とされる能力も含めた、やるべき仕事・役割)に準じて決まります。 それを決める目安となるのが、右に述べた給与データベースなのです。
この給与データベースがあるかないか、また、それをつくれるだけのビジネス文化があるかないか私はこのことが、日米のビジネスの大きな違いを象徴しているように思えてなりません。 アメリカでは「給与データベース」をもとに交渉をするなぜ、そのようなデータベースの構築ができるのかというと、アメリカでは基本的に、職務内容別の基本給が公開されているからにほかなりません。
いや、それ以前の要因として、各企業や団体に「職務内容記述書(ジョブーディスクリプション)」が整備されていることが挙げられます。 このことの大切さは順次お話しします。
基本給の情報公開ということでいえば、もう10年近く前のことですが、私たちは日本のある地方自治体からの依頼内容の一環として、ニューヨーク市の役人の職務内容別基本給をサーベイ(調査)したことがあります。 当時はまだそれがインターネット上に公開されておらず、市立図書館などに置かれている膨大な資料からたいへんな労力をかけて収集しましたが、それでも目的のレポートを作成することができました。
企業においては、それらを外部にまで公開していませんが、少なくとも社員にはすべてオープンにしています。 こうした基本給に関するデータベースは、今やインターネット上に無償で公開されており、就職を希望する学生や転職希望者が職務内容を入力すれば、規模別・業種別・地域別におおよその基本給を検索できるのです。
彼らは、そこで検索した金額より少々高めの基本給を、はっきり「これだけほしい」といって就職希望先に対して提示してきます。 ですから企業側も、後述する「給与サーベイ」のより精度の高いデータなどを活用して理論武装し、「君ね、このポジションでは、君の提示額はかなり高望みですよ」と反論できるだけの根拠を用意しなければなりません。
アメリカでは採用の現場で、職務内容とそれに見合う基本給とについて、早くもそうした交渉が行われているのです。

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